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【夏のニュアンスカラー講座】大人の男をお洒落に見せる色の正体と着こなし術

この記事の要約

夏の装いはシンプルになりがちで、いつも同じような色ばかりで物足りないと感じていませんか?そんな時にこそ味方につけたいのが、絶妙な色合いがお洒落な「ニュアンスカラー」です。複数の色が混ざったような、曖昧で奥行きのある色合いは、コーディネートに頑張らないこなれ感と大人の余裕をもたらしてくれます。実は、このニュアンスカラーは日本人の肌をきれいに見せたり、上質な素材の良さを引き立ててくれたりする嬉しい効果もあるんですよ。「おじさん見えしそう…」という心配も、上質な素材と美しいシルエットを選ぶことで、むしろ「大人の品格」という最強の武器に変わります。この記事では、そんなニュアンスカラーの魅力と、明日から使える着こなしのコツを分かりやすくご紹介しています。

夏のシンプルな装いを格上げする方法、その一つが、今回のテーマである「ニュアンスカラー」です。

「柔らかい色味を着るとオシャレっぽく見えるのはわかるけど、ハードルが高く感じてしまう…」
「夏らしいビビッドなビタミンカラーは、少し気恥ずかしい…」
「白、黒、ネイビーばかりでは、どうにも代わり映えしない…」
「中間色ばかりで揃えたらオジサン臭いんじゃないか…」

ニュアンスカラーにまつわる様々な不安、とてもわかります。
しかし、この曖昧で、絶妙で、どこか奥行きのあるニュアンスカラーこそ、頑張っている感を出さずに、洗練された大人のスタイルをつくるための最強の武器なのです。

この記事では、ニュアンスカラーの魅力、ニュアンスカラーを味方に付ける方法、そして、なぜオヤジにこそニュアンスカラーをおすすめしたいのか、深掘りしてみたいと思います。

そもそも「ニュアンスカラー」とは? その魅力の正体

まず、「ニュアンスカラー」とはどんな色なのか。その言葉の響きから、なんとなくお洒落なイメージはあっても、具体的に説明できる方は少ないはず。

「ニュアンス」とは、もともとフランス語で「微妙な差異」を意味する言葉。そして、ファッションにおけるニュアンスカラーとは、トープ、セージグリーン、ブルーグレー、テラコッタのように、複数の色が混ざり合ったような、彩度が低く、曖昧で絶妙な色合いのことを指します。

こんな感じの色味です。

トープ
セージグリーン
ブルーグレー
テラコッタ

「ダスティカラー」や「スモーキーカラー」とも言ったりしますが、日本語に置き換えると「褐色」が一番近い言葉になります。少し色褪せたような、それでいて深みのある色調、それがニュアンスカラーという言葉が示す色味です。

少し大雑把にいうと、これ何色?と聞かれた時にパッと答えにくい色味、それがニュアンスカラーだと言っても差し支えないでしょう。何とも表現しづらいこの曖昧さこそが、ニュアンスカラーの最大の魅力であり、コーディネートに奥行きと、肩の力の抜けた「こなれ感」をもたらしてくれます。

なぜ「夏」にニュアンスカラーなのか? 大人が選ぶべき3つの理由

では、なぜ特に夏の大人スタイルに、このニュアンスカラーが有効なのでしょうか。大きく3つの理由で考えてみます。

1. 「頑張らないお洒落」を簡単に演出できる

夏だからといって、鮮やかな原色やビタミンカラーを身につけるのは、時として「頑張っている感」が出てしまうこともありますよね。その点、彩度の低いニュアンスカラーは、肌馴染みが良く、肩の力が抜けた自然な印象を与えます。それでいて、定番のモノトーンやネイビーとは明らかに違う、さりげない個性を主張できるのがポイントです。この絶妙なバランスが、イタリア紳士の着こなしに見られる「Sprezzatura(スプレッツァトゥーラ)=計算された無頓着さ」にも通じる、気負いのない洗練を生み出すのです。身につけるアイテムが少ない季節だからこそ、この「色」による差別化は最速で効果を発揮します。

Q. Sprezzaturaとは?

イタリア紳士の着こなしを語る上で欠かせないキーワード、「スプレッツァトゥーラ」。

イタリア語で「無頓着」や「気楽さ」を意味する言葉ですが、ファッションの世界では、計算され尽くした上で、あえて無造作に見せる、高度なお洒落のテクニックを指します。

例えば、ネクタイの結び目を少しだけ緩めたり、ジャケットの袖をラフにたくし上げたり。完璧に整えるのではなく、どこか一点だけ力を抜くことで生まれる「こなれ感」や、努力を感じさせない大人の「余裕」を演出する、イタリアならではの美学です。

2. 日本人の肌色を、美しく引き立てる

一般的に、日本人の肌は真っ白や真っ黒よりも、少し黄みがかったトーンの方が多いと言われています。近年注目されている「パーソナルカラー」で言うところの、イエローベース(イエベ)に分類される方が多い、ということですね。特に年齢を重ねると、肌のトーンは少し落ち着いてくる傾向にあります。そんな大人の肌には、ビビッドな色よりも、少し彩度を落としたグレイッシュなニュアンスカラーの方が、驚くほどきれいに映えるのです。肌の色とケンカすることなく自然に馴染み、顔色を穏やかに明るく、そして上品に見せてくれる効果が期待できます。

白髪混じりの魅力的な40〜60代の男性または髪色を「ナイスグレー」や「ロマンスグレー」と呼んだりしますが、この世代の男性にニュアンスカラーがしっくりと馴染むようになるのには、この髪色の変化も大きく関係しています。加齢とともに顔色と髪色のコントラストが和らぎ、全体がグレイッシュで穏やかなトーンになることで、同じく彩度の低いニュアンスカラーが無理なく調和するのです。これにより、「ナイスグレー」の持つ品格や渋さがさらに引き立ち、洗練された大人の雰囲気が生まれます。

Q. パーソナルカラーとは?

近年、ファッションや美容の世界でよく耳にするパーソナルカラー。 これは、その人の生まれ持った肌や髪、瞳の色と調和し、魅力を最大限に引き立ててくれる「似合う色のグループ」のことです。

一般的には、黄みがかった色が似合う「イエローベース(イエベ)」と、青みがかった色が似合う「ブルーベース(ブルベ)」の2タイプに大別され、そこからさらに「春・夏・秋・冬」の4シーズンに詳しく分類されます。

自分に似合う色を身につけると、顔色が明るく健康的に見えたり、印象が洗練されたりする効果が期待できます。服や小物を選ぶ際の失敗が減り、お洒落がもっと楽しく、効果的になる。そんな自分だけの「指針」になってくれる考え方です。

3. 素材の良さが、より一層際立つ

ニュアンスカラーの落ち着いた色合いは、身につける素材の上質さをさらに引き立てる効果があります。なぜなら、色の主張が控えめであるために私たちの視線が自然と「質感(テクスチャ)」に向かい、さらに素材表面の微細な凹凸が生む「陰影」も繊細に描き出されるからです。例えば、上質なリネンのシャリ感、オーガニックコットンのとろみ、スエードの滑らかな起毛感など。ニュアンスカラーを纏うことで、素材そのものが持つ表情がより豊かに見え、結果としてコーディネート全体に深みと高級感が生まれるのです。

明日から使えるニュアンスカラー着こなし術

「ニュアンスカラーの効用はわかったけど、どう着こなせばいいの?」という方のために、具体的な着こなしのポイントをご紹介します。

基本:まずは「一点投入」から

いきなり全身をニュアンスカラーでまとめるのは、少し難易度が高いかもしれません。まずは、Tシャツ、ポロシャツ、パンツなど、いつものコーディネートに一つだけニュアンスカラーのアイテムを取り入れてみましょう。白・黒・ネイビー・グレーといったベーシックカラーと合わせれば、失敗することはありません。定番カラーの代わりに投入するだけで、意外なほど手持ちの服にすんなり馴染み、ぐっと新鮮な印象になります。

応用:最強のテクニック「トーンオントーン」

ニュアンスカラーの着こなしで、最も洗練されて見えるのが「トーンオントーン」。これは、同じ色を濃淡や素材感の違いで組み合わせるテクニックで、もう既にご存知の方も多いのではないかと思いますが、実際に着こなしに取り入れるのはハードルが高いという声も聞こえてきます。慣れない方は、薄い色味のトーンではなく、濃い色味でトーンを揃えるというのがおすすめです。例えば、グレージュのTシャツに、少し濃いトープのパンツを合わせる、といった具合。色の系統を揃えることで、統一感のある美しいグラデーションが生まれ、非常に上品でこなれた印象に仕上がります。

コツ:「ぼやける」と感じたら、黒・白で引き締める

ニュアンスカラー同士の組み合わせは、ともすると全体がぼやけて見えることもあります。そんな時は、コーディネートのどこかに黒か白のアイテムを加えてみてください。黒のレザーサンダルやベルトで全体を引き締める、インナーに白のTシャツを覗かせてクリーンな抜け感を出す、など。無彩色が加わることで、ニュアンスカラーの持つ曖昧で美しい色合いが、より一層引き立ちますよ。

「おじさん見え」は、むしろ「武器」になる?

ニュアンスカラーは一歩間違えるとおじさんっぽくなりそうと、心配をされる方もいるかもしれません。確かに、くすんだ色合いは、着こなし方によっては疲れた印象に見えてしまう可能性もゼロではありません。

しかし、ここが本物志向の大人にとっての腕の見せ所。その懸念は、上質な素材身体に合った美しいシルエットを選ぶことで、むしろ「大人の品格と余裕」という最強の武器に変わります。

例えば、同じグレージュのTシャツでも、上質なオーガニックコットンが持つ、とろみのある光沢感や滑らかな肌触りのものを選ぶ。パンツであれば、自分の体型を美しく見せてくれる、計算されたシルエットのものを選ぶ。そうすることで、ニュアンスカラーが持つ落ち着いた色合いが、素材や仕立ての良さをさらに引き立て、チープさとは無縁の、洗練された大人のスタイルを完成させてくれるのです。ポイントは、「色数を抑えて珍しい色をアクセントにすること」、そして「メインにしたい色がある場合、その同系色、もしくは無彩色を選んでバランスを整える」ことです。

纏うは、色ではなく「大人の余裕」。ニュアンスカラーという賢い選択

ニュアンスカラーは、流行色の一つではありません。少しカッコつけた表現をするなら、身につける人の内面的な成熟や、肩の力の抜けた美意識を表現してくれる、大人のための特別な色なのです。

アイテムが少なくなる夏だからこそ、色という視覚的な要素で、周りと差がつくお洒落を楽しんでみませんか。メインにしたい色を一つ決め、同系色や無彩色でバランスを取る。たったそれだけの意識で、あなたの夏のスタイルは驚くほど洗練されるはずです。

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